豊田空間デザイン室

日々のこと
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「松林図屏風」

updated: 2008年1月27日

今日のNHK[新日曜美術館]は長谷川等伯の「松林図屏風」。ゲストは洋菓子界を代表するパティシエの一人辻口博啓氏だった。桃山時代の画家とどんな共通点があるのか、不思議だが見ていくうちに引き込まれた。等伯は石川県七尾の出身で当時絶大な力を持つ狩野派に挑戦。一方辻口氏も同郷でやはりマイナーな状況から戦ってきて今の評価を勝ち取っている。
それはさておきこの「松林図屏風」、モノクロで風雪になびく松がぼかした感じで描かれ余白も多く、何か観ていると寂しくもある。しかし、この余白の美と力強さが氏に強い魅力を与えるのだという。[和]を持って世界に挑み、夢と心に残る洋菓子作りを目指すという氏にとって何にも変えられない絵なのだと思う。
日本画の評論家の分析よりも、実戦で活躍する人の言葉というのは説得力がある。数百枚の絵を観て知識を得るよりも、1枚の絵が力と感動を与えてくれるというのが素晴らしい。