豊田空間デザイン室

日々のこと
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『循環や放浪「よし」とする世界観』-1

updated: 2008年10月8日

 梅原猛氏と分子生物学者である福岡伸一氏という、年代も分野も違う二人のクロストークに感銘を受けた。
まず、福岡氏:「日本文化の源流について・・・日本人の心の中には、<方丈記>に生命は流れている泡沫のようなものだと書いているように・・・肯定的な無常観や生命観、自然観が根ざしている。その起源はいつ頃から?」と問うことから始まる。

 梅原氏:日本の基層文化は、縄文文化だとの持論を展開。それが、天台密教でも草や木、さらに国土という鉱物あるいは無機物までが仏性を持っているという思想へと繋がっていく。この思想は人間中心主義では無い、無生物も生物と同じに考えるという思想だと言う
 福岡氏:人間の細胞は入れ替わって、流れて、うつろい、次の瞬間、ミミズの一部になるかもしれないし、鉱物の一部になるかもしれない。それが、巡り巡って別の生命の一部になって、地球全体で循環と共生を繰り返している、、と言う。そういうことに日本人は昔から気づいていたのかもしれない、、と。
 梅原氏:時間の捉え方が西洋は直線、日本は循環。日本文化の根底には、循環や放浪を「よし」とする流れがある、、一遍や西行、芭蕉のように。  日本人を奥までたどっていくと、世界に開いている。日本の文化にはかつて人類に共通していた文化、思想的伝統があるのかもしれない。
  この続きは次回に