豊田空間デザイン室

日々のこと
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『タオ・・・老子』

updated: 2009年8月18日

「タオ」とは大自然のあるがままの素晴らしさを称える老子の言葉。このところ、座右の書としている本のなかに加島祥三さんの『タオ・・・老子』があるbook。難解な老子の思想を、現代的な解釈で書いているので親しみ易い.

 儒教の創始者「孔子」は何よりも社会秩序を重んじようとした。それに対し「老子」は社会への意識に捉われず、自然や宇宙観をも動かす、より大きな秩序の中に私達人間を位置づけ、大自然の持つさらに深い意味へと向けようとした。

タオ(道)の原理とはReturning・・・再び転じること、すなわち反・復・回・周・還というように大きく転じて戻っていくことである。 「物質」は固まったもので「からっぽではない」。「空っぽ」の中に働くもの、「空間」すなわち何もないように見えるものの中にエナジーが働いていて、何もない「無」のなかから出てきたものが「有」「物質」だと。だから、物質は無の中に帰るのだという思想・・・大きな循環を教えているのである。

 伊那谷に住み、「タオ」の研究をしている加島さんが、昨年TVでこの本のことを語っていた。この地は、いかにもタオの思想にふさわしい自然が残っている。朗読は名優の故緒方拳さんで、一語一語が深くしみ入ってくる。永久保存版とし、時折観ている。